ファイナンス
| 「税金について」の執筆は… 白木 真知子、CPA さん |
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消費税 HST 導入による影響 個人の確定申告について(自営業者も含む)
税金について
カナダで生活するには、日常生活に欠かせない買い物やサービスに かかる消費税や、確定申告に関する情報をしっかり把握しておくこと が重要です。ここではBC州の新しい消費税システムと所得税に関す る概要を紹介します。
消費税
2010年7月1日よりBC州においてHSTシステムが施行されました。 これまで、BC州では、5%の消費税 (GST:Goods and Services Tax)と7%の BC州売上税 (PST: Provincial Sales Tax) が商品やサービスに対して別々に 加算されていましたが、今後は、これらがまとめられてHST (Harmonized Sales Tax) となり、合計で12%が課税されます。又、同時に今まで州税がか かっていなかった一部の商品やサービスにもHSTが課されます。
HST導入の狙いと特徴
BC州政府がHSTシステムに移行した最大の理由はビジネス業界に州税の
負担を減少させることにより、他州を始め外国との競争力を増し、投資や
雇用を促すことにあります。また、州政府自体も州税局の業務を無くすこ
とにより$30ミリオンの経費削減を見越しています。
このHSTの特徴は州政府が州税収入の多くの部分を消費者から直接徴収
することにした点にあります。
今までは製造業者も卸業者も小売店も流通時においても州税がかけら
れ、その値段が商品やサービスの値段に組み込まれていました。新しい
HSTシステムでは、それまでの流通段階で組み込まれていた税金がなくな
り、最終段階でHSTを課税する形に変わります。その結果、本来の商品や
サービスの価格が徐々に下がるとみなされています。
HST 導入による影響
ここではHST施行後、商品やサービスの価格にどのような影響があるのかを紹介します。
1) HST施行前も後も課税の対象にならないもの
●基礎的な食料品(肉、魚、野菜、果物等) ●教育費 ●住宅用家賃
●医療費 ●コンドミニアム管理費 ●処方薬 ●託児所費用
●リーガルエイド ●保険料(家屋、生命、自動車) ●BCフェリー料金
●中古住宅の購入
2) HST施行前も後も州税はかからないが、GSTはかかるもの(変更なし)
●住宅用の電気・ナチュラルガス・暖房費(リベート後) ●ガソリン ●本
●子供用の服・靴・カーシート ●赤ちゃん用布おむつ ●生理用品
3) HST施行前は州税はかからなかったが施行後はHSTがかかるもの
●食料品全般 ●電話代 ●ケーブルTV ●処方薬以外の薬
●ビタミン剤 ●新聞 ●雑誌 ●タバコ ●文房具 ●自転車
●レストランでの食事代 ●ヘアーカット ●エステ
●ドライクリーニング ●家の改装費 ●不動産仲介費用
●スポーツのメンバーシップ ●映画・劇場入場料 ●葬儀費用
●会計士費用 ●ホームケアー
●国内の航空券・鉄道・バス料金(BCを起点とする場合)
4) HST施行後減税となるもの
●子供用使い捨ておむつ(12%から5%になる)
●酒類(15%から12%になる) ●ホテル宿泊料金(13%から12%になる)
5) HST施行前も後もHSTがかかるもの(変更なし)
●化粧品 ●衣服 ●家具 ●コンピューター ●電化製品
●ペットフード
6) 住宅購入の場合
新築の住宅を購入する場合、HST施行前と後ではどのように課税額が変
わるのか具体的に比較してみます。
HST州税は課金されないので税額は施行前と変わりません。
| 施行前 | 施行後 |
|---|---|
| $525,000 x 5% (GST)= $26,250 | $525,000 x 5% (GST)= $26,250 |
州税が7%分かかりますが、最高で$26,250のリベートがあります。
| 例1) 施行前 | 施行後 |
|---|---|
| $700,000 x 5% (GST)= $35,000 | $700,000 x 5% (GST)= $35,000 $700,000 x 7% (州税)= $49,000 リベート ($26,250) |
| GST 合計 $35,000 | HST 合計 $57,750 |
| 例2) 施行前 | 施行後 |
| $1,000,000 x 5% (GST)= $50,000 | $1,000,000 x 5% (GST)= $50,000 $1,000,000 x 7% (州税)= $70,000 リベート ($26,250 |
| GST 合計 $50,000 | HST 合計 $93,750 |
その他の規定
● ビジネスにおける経費
HSTシステム施行後、ビジネスで材料費の購入やサービス又は営業経
費として支払ったHSTに関する税金 (Input Tax Credit)は、クレジットと
してクレームできます。
● GST/HSTクレジット
HSTの導入により、低所得者に関しては今まで以上に負担が増すこと
が想定されます。この問題に対し、BC州政府は低所得者に対してHST
クレジットを現行のGSTクレジットと一緒に支払うことを確約し、年収
が$20,000までの個人には年間$230、年収が$25,000までの世帯には
家族一人につき年間$230が支払われることになりました。これらは今
まで通り3ヶ月毎に支払われます。
この他にもいろいろな規定があります。詳細は専門家にご相談頂くか Service Canadaのサイト(www.servicecanada.gc.ca)をご参照ください。
個人の確定申告について(自営業者も含む)
カナダでの所得税の手続きは自己申告納税制となっており、毎年暦年を 区切りにして個人が各々連邦所得税の確定申告様式で行うことになって います。カナダの所得税法では居住者と非居住者では取り扱いが異なり ますが、カナダ国籍の有無は関係ありません。ここでは居住者が所得税 を申告する際必要とされる税法の概要を紹介します。
1)確定申告の対象者(個人)
● 所得税を支払わなければならない人
● 還付金を請求する権利がある人
● 不動産、株式、その他の投資を売却、又はキャピタルゲイン(キャピタル
ロス控除後)があった人
● 本年使わなかった金額を翌年に繰り越す場合(大学の授業料、RRSP等)
● GSTクレジットを申請したい人
● 子供手当を継続して受け取りたい人
2)確定申告書の提出締切日
● 個人…翌年4月30日。
納税の場合は必着です。さもないと利息やペナルティがかかります。
還付の場合は納税の場合ほど厳しくはありませんが、GST/HSTクレ
ジットや子供手当や養老年金などの給付が遅れる可能性があります。
● 自営業者…翌年6月15日。
但し、所得税を納めなければならない場合は翌年4月30日。
(納税の場合は金融機関でも支払い可能です。)
3)課税対象となる所得
カナダの居住者は全世界の所得に対して課税されます。
● 給与所得 (給与、ボーナス、コミッション、ベネフィット等)
● 投資所得 (銀行利息、配当金、賃貸料等)
● 専門家及び事業所得
● その他の所得や受領金 (カジュアルワーク収入、労災保険金、失業保険金、社会保障金、年金、養老年金等)
4)所得控除
● RRSP(登録退職貯蓄)
● 託児所費用
● 労働組合費
● 転居費用(距離が40Km以上離れていること等の条件がある)
● 投資のために生じた借入金利息、カウンセリング料、貸金庫料等
○ 追加控除
● キャピタルロス/ノンキャピタルロス(先年から繰越分)
● 労災保険金や社会保障金(課税所得に入れた分)
5)還付不可の税額控除
これらの控除額はたとえ連邦所得税額より多くても還付されません。
● 個人基礎控除額、配偶者控除額、扶養家族控除額
● 養子縁組費用
●障害者控除額、介護者控除額
● 大学の授業料
● 寄付金、ギフト
● 通勤通学用バス・電車代
● 医療費
● 外国税額控除
● 連邦政治献金
6)還付可能な税額控除
● カナダ年金基金掛金(CPP)や雇用保険料(EI)の過払金
● 勤労所得タックスベネフィット(WITB)
7)所得税の計算方法
納税額や還付金の計算方法は次のようになります。
(1) Total Incomeの算出
課税対象の所得を合計します。
(2) Net Incomeの算出
所得控除額の合計(All Deductions)を(1)から差し引きます。
(3) Taxable Income の算出
追加控除額の合計(Additional Deductions)を(2)から差し引きます。
(4) Federal Tax の算出
連邦所得税を計算します。
(5) Net Federal Tax の算出
還付不可の税額控除(Non-refundable Tax Credits)を(4)から差し引き、
もしバランスがマイナスであれば税額はゼロとします。
(6) Total Payable の算出
州税の合計 (Provincial Tax) を(5)と合計します。
(7) 還付金または納税額の算出
還付可能な税額控除の合計(Refundable Tax Credits) を(6)から差し引き
ます。この差額がマイナスであれば還付金(Refund)となり、プラスであ
れば納税額(Balance Owing)となります。
● 連邦所得税・州税の税率について
なお、所得税計算は累進税率により連邦所得税及び州税をそれぞれ計算
します。2009年度の連邦所得税は課税所得により15%、22%、26%、29%
となっています。BC州税は5.6%、7.7%、10.5%、12.29%、14.7%となってお
り、BC州居住者の最高税率は43.7%になります。
8)申告方法
申告は下記の方法を選択できます。
(1) EFILE
会計事務所、タックス専門業者のインターネットから申告する方法。電
子的に送付する為、プロセスに時間がかからず、還付金を比較的早く
受け取ることができます。
(2) NETFILE
市販の税計算ソフトから申告する方法。CRAから送られてくるWAC(ウ
エブアクセスコード)を入力して電子的に送付します。還付金を比較的早
く受け取れます。
(3) TELEFILE
国税局のフリー電話に掛けて申告する方法。シンプルな申告をする人
に限られます。CRAからのアクセスコードを使ってタッチフォン形式で
情報を入力します。
(4) PAPER
国税局が発行するフォーム、又は市販のソフトからプリントして申告す
る方法。フォームは郵便局でも入手可能です。
9)その他確定申告に関する注意点
● 国外資産の報告義務
所得税申告年度に、国外に$100,000以上の資産(現預金、不動産等)を所
有していれば報告(T1135)する義務があります。但し、私用目的の資産等
除外されるものがあるので確認が必要です。
● 所得税申告書の監査
カナダ国税局で申告書の税務調査を行う場合がありますので、査定通
知書(Notice of Assessment)の送付日から少なくとも3年間は書類を保
管しておくことが必要です。なお、レシートは少なくとも6年間保管す
ることが必要です。
ここ掲載される情報はあくまでも主な事柄です。
税金の計算方法は年々複雑になって来ていますので申告漏れがないよう
くれぐれもご注意ください。